クラーク志織さんを通してロンドンの今に触れ合える
トレンチコートカスタム

アクアスキュータムがトレンチコートの魅力をプレゼンテーションするキャンペーン「FUN & TRENCH」。今回はロンドン在住のイラストレーター・クラーク志織さんとのコラボレーションを、2022年10月19日~の14日間に渡って店頭でのイベントにて展開します。クラークさんが描き下ろしたイラストのワッペンを、アクアスキュータムのトレンチコートにカスタムできるこの企画。ロンドンのファッションや空気感が詰まった描き下ろしイラストの秘話や、自身のファッション観やロンドンでの生活など、クラークさんのスペシャルインタビューをお届けします。

Q: クラークさんはイギリス生まれのコスメブランドとのコラボレーションや、英国展でのビジュアルイラストを手がけられるなど、これまでイギリスにまつわる取り組みをさまざまにされています。今回アクアスキュータムとは初めてのコラボレーション企画になりますが、ブランドにどのようなイメージをお持ちでしたか?

 

両親がアクアスキュータムのコートを愛用していたのを子供の頃から見ていましたので、大人が纏うイギリスのブランドというイメージでした。最近は、できるだけ長く大切に洋服を着たいと思うようになりましたが、どうしても飽きがきてしまうジレンマも感じていたのも事実。ワッペンでコートをカスタマイズする「FUN & TRENCH」企画に今回オファーをいただき、素晴らしい試みに参加できることを光栄に思いました。

Q:「FUN & TRENCH」キャンペーンは、トレンチコートを長く大切に愛用していただくことをテーマにしていますが、クラークさんは愛用品をカスタムなどされることはありますか?

 

正直、裁縫が大の苦手ということもあり、洋服を修理するという経験は今まであまりしてこなかったんです。ですが、この数年で洋服をもっと大切に着たいという意識が高まり、小さな破れを縫い合わせしたり、息子の服に可愛いワッペンを縫い付けたりと、実践してみると実は楽しくてクリエイティブなことに気がつきました。最近は古着にも目が行くようになりましたが、新品も古着も関係なく、とにかく一度購入したものは何年も着続けようと心がけています。流行りにのったピカピカの新品よりも、気に入ったものを長く大事に着ている方がかっこよくておしゃれ! というスピリットです。

Q: おしゃれに対する愛を過去のクラークさんのコラムから感じられました。洋服はどのような存在なのですか?

 

イラストではいろいろなファッションのテイストを描くことが多いのですが、私自身はたくさん服を所有するタイプではなく、気に入ったコーディネートは何度も繰り返して着ていたり、気が付くと黒ばかりということも多いんです。冒険するのが実は苦手なのかもしれません(笑)。だからこそ、イラストの中のキャラクターに自分では挑戦できないスタイルを投影させて、おしゃれの欲を満たしている側面もあると思います。同時に、イラストの世界での着こなしを繰り返し描くことにより、心の準備ができてきて実際に自分でも挑戦できるようにもなったりして、イラストと自分のおしゃれを楽しむことが不思議な関係で繋がっているような気がします。

Q: 今回のコラボレーションでは、トレンチコートを着た7人の人物が登場しますが、着こなしのアイデアはどこからきているのですか?

 

私が拠点としているロンドンでは、さまざまなカルチャーが入り混じる街というだけあり、うっとりするような素敵に服を着こなす方をたくさん目にします。あるスーパーでよく見かけるファッション、ルームウエアとインテリアの関係、支持政党から見るファッションの傾向など、日常とファッションが親密に結びついているシーンを見るのもたまりません。今回のイラストのキャラクターは、今暮らしているサウスロンドンの人々から着想を得ています。犬を散歩しているキャラクターは近所の公園で散歩していた女性を参考に。買い物をしているキャラクターは商店街で見かけた男性です。ディープなピンクのトートバッグを持っている女性は、私自身に近いかもしれません。目を引くピンクのバッグとゴールドのピアスは、ここ最近ほぼ毎日身につけているアイテムです。

今回のコラボレーション企画のためにクラークさんが描き下ろしたイラスト

Q: ロンドンに移住されて10年だそうですね。最近の暮らしはいかがですか?

 

10年前に越してきた時から今でも変わらず、“伝統を守りながらさまざまな文化がミックスして、新しいことにもダイナミックに挑戦する”というロンドンの雰囲気がとても好きです。同時にここ数年で変化も感じています。なぜなら、ブレクジットやパンデミック、エリザベス女王の死去、エネルギー危機など、イギリス社会を揺るがす大きな出来事が立て続けに起きたこともあり、美しくエキサイティングなロンドンという街の裏に隠れてきた、今もなお続く不平等や理不尽な出来事に対して、あらためてフォーカスが当たる様を度々見かけるようになったからです。美しいと感じる伝統はどのような歴史の上で作り上げられたものなのか、なぜ多種多様なカルチャーが集まる大都市になったのか、大胆な挑戦ができる街としてのパワーは一体誰によって支えられているのか。そんな事を考える機会が増えました。そのお陰か、より多角的にこの街を理解できるようになったと思います。ロンドンは完璧な街なんかじゃ全然ないと、住めば住むほど実感します。

パンデミックによるロックダウンが始まった時でしたが、近所のボランティア団体が家々に「ヘルプが必要なら連絡して」とチラシを投函してくれたり、ぼーっとカフェでコーヒーを飲んでいる時でも隣の席から「格差をなくすためのアクティビズムをオーガナイズしてるんだ!」と熱く語る会話が聞こえてきたり、可愛い雑貨屋さんの壁に気候危機に立ち向かうためのデモをサポートするポスターが貼ってあったり。この完璧じゃない世界をなんとかしようと真剣に全力で取り組んでいる人がこの街にはたくさんいて、そんな所がたまらなくかっこいいと感じます。住めば住むほどロンドンへの愛が深まっている10年目ですが、そんな思いとロンドンの空気感を今回のイラストに詰め込みましたので、いろいろな角度から楽しんでいただけたら嬉しいです。

イラストレーター

クラーク志織

くらーく・しおり 武蔵野美術大学を卒業後、2012年にロンドンに移住。雑誌やWEB、広告やファッションブランドなどのイラストを手がけている。最近ではフェミニズムをテーマにした文章の執筆も行っており、雑誌『ELLE JAPON』などにコラムの連載を持つ。Instagram @shioriclark

【クラーク志織さん×FUN & TRENCH】

 

クラーク志織さん描き下ろしのイラストをワッペンで再現。実際にロンドンで生活している人々を描いたイラストで、クラークさんらしいポップな世界観が表現されています。カラーバリエーションも豊富に取り揃えるこちらのワッペンをトレンチコートに圧着し、オリジナルのコートにカスタマイズすることができます。その場で圧着しますので、そのままお持ち帰りも可能。詳しくは公式情報サイト

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